大使公邸での食事会

【発足から10年を迎えて】   

NPO法人 奈良オマーン友好協会  理事長 砥綿 千恵


平成22年(2010年)3月に任意団体として、奈良オマーン友好協会を設立し、活動を開始してから今年の3月で丸10年となりました。よく「どのような目的でこの協会を設立したのか」と聞かれ、「オマーンは海のシルクロードの国だから、シルクロードの終着点の奈良と繋げて現在のシルクロードを構築したいと思ったからです」と答えていますが、私は、オマーンという国の存在を意識したとき、本当にこのように思いました。今から思うと、オマーンについてあまり知識もないのに、よくこのような大胆な発想に至ったものだなと思います。しかし、10年前、私はオマーンに一目惚れに近い感情を抱いたのだと思います。その一目惚れから始まった協会も10年が経ち、私はオマーンの人や文化に触れる度にますますオマーンに恋をしています。

さて、設立してから出会ったオマーンの若者たちも今では社会人やママになり、特にオマーンで活動をする際には、彼らの協力は無くてはならないものとなりました。2017年、2018年と有志でオマーンの首都マスカットで奈良県をPRする活動を行って来た際にも彼らが全面的に協力をしてくれ、少しずつ、オマーンで奈良県の知名度が上がってきています。

今年もまた在オマーン日本大使館と彼らの協力の元、中東最大級の祭典と呼ばれるマスカットフェスティバルで奈良県をPRする計画を昨年度から練って参りましたが、1月10日にカブース前国王が崩御され、服喪期間ということで、マスカットフェスティバルをはじめ、オマーンでの様々なイベントが中止。フェスティバル参加予定の日程をオマーンの文化に触れる時間として過ごすことにしました。

在オマーン日本大使館の協力と現地のサポートメンバーのアテンドで、現地メンバーのご自宅に招待していただき家庭料理を堪能したり、民族衣装を着させていただいたりと現地のメンバーがいたからこその体験が出来ました。

オマーンは、一見、風景は日本とは全く違うように思えますが、アラビア半島の文化や歴史の原点であるオマーンは、シルクロードで栄えていたのもあり、所々で奈良を感じさせます。ナショナルミュージアムで見た紋様の多くは正倉院紋様に大変似ており、螺鈿細工や伝統楽器のウードも正倉院の宝物にそっくりなものが沢山展示されていました。

初日に在オマーン日本大使公邸に参加メンバーを招待していただき、夕食を頂きながら、2025年の大阪エキスポのオマーンパビリオンのお話や今後の活動のお話をさせていただきました。その中で、小林大使がオマーン人の気質についてこうおっしゃっていました。「オマーン人は、関西人に感覚が似ている、人懐っこい明るい性格だ」。その言葉を聞いて、アラビア半島の歴史と文化の原点であり、気質が関西人ということは、まさにオマーンはアラビア半島の中の奈良だと改めて実感し、一目惚れした理由を再認識した場面もありました。

私はオマーンに行く度に家族や仲間との繋がりの深さを感じます。「和を以て貴しとなす」が日本にいるより多く感じられるオマーン。私たち日本人が忘れかけているものが、オマーンには沢山残っていることを思い知らされます。

人々の心が豊かなオマーン。私たちと遠い時代から深い繋がりがあるオマーン。「おかえり」と言われて違和感なく「ただいま」と言えるオマーン。今回も滞在中に沢山の学びや気付きがありました。

帰国後も現地のサポートメンバーからは「来てくれてありがとう」「日本とオマーンは過去から繋がっている、そして現在も繋がりを続けてくれてありがとう」とメッセージを頂きました。彼らの言葉を受け止め、次の世代につなげていけるように今後の活動の取り組みを若い世代にもつなげていくべきだと感じています。

最後に私たちが来ることが分かってからアテンドするためにグループを作り、定期的に会議をして私たちの迎え入れをしてくれ、仕事を休んでまで同行してくれた私のオマーンの家族達に深く感謝いたします。