【オマーン訪問レポート】
NPO法人 奈良オマーン友好協会 理事 上林 久美子
仲間を通じてオマーンという国を知り、その国の若者に出逢い交流が続く中、私のオマーンへの興味と知識が少しずつ膨らんで行った。そして、友好協会3回目の訪問となる今回、私としてはやっと参加が叶った。が、準備を進めていた中、オマーン国王が崩御され、参加予定のマスカットフェスティバルが中止になったとの知らせが届いた。大きな目的がなくなったというだけでなく、このような時に訪問していいものかどうか、渡航自体を検討したが、交流という目的を果たすため予定通り旅立った。現地では、あちこちに半旗が掲げられ、ラジオ放送はクラシックのみ、飲食店内のBGMはなし、という喪に服した様子に触れ、大きな区切りの時を共に過ごさせてもらったように感じた。そして、結果的に、今回五日間全ての日程が、オマーンの仲間との交流とオマーンの文化との交流という、大変贅沢な時間となった。現地の仲間であるオマーン人の若者たちが、全ての日程を考え、アテンドしてくれた。私たちを歓迎する気持ち、また自国の良さを伝えたいという想いが優しく伝わってきた。歴史はやはり異国のものだった。ナショナルミュージアム、古城跡、モスクやスークなど、アラビアの神秘的な雰囲気を漂わせていた。男性陣は観光客用ではない、通常利用する店で民族衣装をオーダーしたり、女性陣は個人所有の実際の華やかな民族衣装を着せてもらったりし、その気持ちを満喫させてもらった。また、個人宅とは思えないほどの立派なお宅に招いてもらい、ティータイムや夕食のおもてなしを受けたり、夜の砂浜で、ライトアップされたモスクを遠くに見ながらお勧めのハンバーガーを食べる。なんて、素敵な時を贈ってくれたのだろう。彼らは、常に宗教や生活の習慣を大切にしながら過ごしていた。お祈りの時間、ティータイムを大切にすることなど、その日常にも触れさせてもらった。そして、生活文化の違いはあるものの、おもてなしの心、その繊細さは、日本人の心と通じるものがあると感じた。まさしくオマーンの文化と交流させてもらった時間。どれも、今までの交流があってこその過ごし方ばかり。今後オマーンに訪れる日本人は増えていくことだろうが、この日々は友好協会ならではのスペシャルな旅となったと確信した。また、日本大使公邸での夕食会にもお招きいただき、当協会の想いと活動が伝わっていること、そして今後の活動も期待し見守って頂いていることに、継続と発展にさらに取り組まなければ、と思った。かつて海のシルクロードとして繋がっていた奈良とオマーン。その繋がりを今の時代にも…と、あらためて強く感じた。私は、人も土地も出来事も、出逢いだと思っている。どこで出逢うか、誰と出逢うか。何と、どのように出逢うか…。 私としては、マスカットフェスティバルを経験してみたい。ぜひ来年もこの時期に訪れ、もっともっと多くのオマーンの人たちに出逢うことを願っている。